賢者の贈り物

この記事はトールキンワンドロ&ワンライ2020@1hTolkienさんの企画 #1hTolkien の第198回(4/18) お題「好きな台詞」に参加したものです。 「そうかもしれぬし、そうでないかもしれぬ」 いかにもガンダルフっぽいものいいですが、ありがたいのかありがたくな…

賢者の言葉

#この記事はトールキンワンドロ&ワンライ2020@1hTolkienさんの企画 #1hTolkien の第197回(4/11) お題「好きな台詞」に参加したものです。 「死んだっていいとな! たぶんそうかもしれぬ。生きている者の多数は、死んだっていいやつじゃ。そして死ぬる者の中…

重荷

この記事は@yuura_ardaさんのツイートとリプを参考にしました。 指輪の一行が裂け谷を出発する前のシーンで、彼らの旅装が紹介されます。その中で、「ギムリだけが公然と短い鎖かたびらを身につけていました。ドワーフというのは身軽に旅をするものです」と…

遥かなるヌメノール

「ロリエンの葉っぱはあてもなく落ちはしない。」 馳夫さんが二人のホビットを攫ったオークを追跡中、ピピンが落としたブローチを見つけて言った台詞ですが、最初一読したときは正直言って繋がりがわかりませんでした。原文でも"Not idly do the leaves of L…

映画『トールキン 旅のはじまり』雑感

この記事は@TolkienWriting さんのイベント #TolkienWritingDay に参加したものです。 (ネタバレ多数あります) 映画についての事前知識をなるべく入れずに観に行ったためなかなか楽しめましたが、なんかセンチメンタルに振り過ぎていてちょっと悶えるとい…

古き言い伝え

この記事はブログ「族長の初夏」の記事を参考にさせていただきました。 ホビットの冒険の最後を締めくくるガンダルフのセリフは、若干ですが流れがわかりにくいところがあります。 原文を抜き出すと以下のようなセリフです。 "Surely you don't disbelieve t…

暁にその名を呼べば

この記事はトールキンライティングデー @TolkienWriting さんの企画、 トールキンアドベントカレンダー2018 16日目のエントリーです。 指輪物語において、名前はちょくちょく重要な役割を果たします。 ピピンが「モルドールに行くんだって!」とか「指輪の王…

「ここではないどこかへ」

(この記事は @TolkienWriting さんの企画 #TolkienWritingDay 2018 September への寄稿の第3部です。一応関連していますので、未読の方は第1部、第2部の記事もお読みいただければ幸いです) 昨日の記事で「エルフ=プレイヤー説」について触れましたが、そ…

「外と中」

(この記事は @TolkienWriting さんの企画 #TolkienWritingDay 2018 September への寄稿の第2部です。未読の方は第1部の記事もお読みいただければ幸いです) 昨日の記事で「ガンダルフ=アバター説」について触れましたが、そうなると気になるのはエルフたち…

「中と外」

(この記事は @TolkienWriting さんの企画 #TolkienWritingDay 2018 September に参加しています。企画へのリンクは記事の最後からどうぞ) 「エルロンドの館じゃ。今は朝の10時じゃ。」と答える声がありました。 「ここはいつも暗い。だが外では月が西へま…

もしも中つ国が

この記事は トールキンワンドロ&ワンライ2018(@1hTolkien)さんの企画、 #1hTolkien 第100回に参加したものです。 お題 「もしも○○が○○だったら」より、 「もしも中つ国が"中国大陸"だったら」 もしもトールキンが古英語の研究者ではなく、東洋文化史の碩学…

新年の14日

この記事は @TolkienWriting さん主催のイベント #TolkienWritingDay に参加して投稿したものです。過去のイベントはこちら http://bagend.me/writing-day/ 今日(4/8)はゴンドールの新暦では新年の14日、フロドとサムがイシリエンで目を覚ましてガンダルフた…

悪霊よけ

ラダガストがわざわざガンダルフを探して伝えに来た「九人組が大河を渡った」という知らせ、まあ確かに厄介そうな話ではありますが、教授としては私たちの印象よりも深い象徴を意図しているのではなかろうか、という話を。 体系だって調べたわけではないので…

わが捲き毛を持つものよ

ロスロリエンにてギムリが奥方様に御髪を希う場面は指輪物語の中でももっとも美しいシーンのひとつと勝手にみなしていますが、ここを読み返す時、最近になって思うことがひとつあります。 手ずからギムリに巻き毛を授けながら、もしこの戦いを無事に乗り切れ…

モルドール経営

黒門前の戦いで、サウロンがフロドに気づいた瞬間に、彼の意識は一気にオロドルインに集中し、サウロンの軍は統制を失って浮き足立ってしまいました。逆に言えば何十万のオークやトロルを始め、モルドール中に散らばる数多の下僕たち、また、国外に派遣され…

旅をさせよ

しばしば言及されていますが、ホビットの寿命は人より長めなので ホビットたちの"年相応"の感覚というのは若干実年齢とずれがあります。一番単純な計算として、成人ならぬ成ホビットの33歳が日本人の20歳となるよう1.65で割るとすると、 出発時の年齢を換算…

わが友グワイヒアよ

黒門前の最後の戦いで、フロドたちを助けにいくためにガンダルフがグワイヒアに頼むかっこいいシーンがあります。 『「あんたはわしを二度運んでくれた。わが友グワイヒアよ、」と、ガンダルフはいいました。「もしあんたが喜んでやってくれるなら、三度目で…

働かざる人々

子供の頃に指輪物語を読んだとき、疑問に思っていたのは、フロドたちの仕事ってなんなんだろう?......ぶっちゃけ、生活費をどうやって稼いでいるんだ? というものでした。だってどうみても働かずにぶらぶらしたり本を書いたりして暮らしています。 最後ま…

となえよ、友

コンピュータのセキュリティの分野ではいわゆるパスワード破りの方法として古典的なものに、辞書にある単語の組み合わせを片っ端から試してみるという辞書攻撃と呼ばれる手法が知られています。映画とかTVドラマでいわゆるハッカーがそれっぽいプログラムを…

エレサール王の戴冠

アラゴルンが即位する時、ファラミアから王冠を受け取ったのを一旦返して、フロドに託し、ガンダルフに戴冠させてもらっています。指輪戦争の真の功労者を立てたかたちですが、本当にそれだけの意図だったのでしょうか。 アラゴルンの言動をみる限り、ガンダ…

広い世界の中の小さな役割

この記事はトールキンライティングデーの企画、 トールキンアドベントカレンダー2017 25日目のエントリーです。 指輪物語では、本編の中で結局明示的に正体が語られることのない、回収されない不思議がたくさんあります。たとえばサムのロープはどうしてほど…